湖底の城 9巻(完結)

1年に1冊づつの刊行で、今年(2018年)の秋に最終巻の9巻が刊行された「湖底の城(こていのしろ)」。

執筆期間9年。

中国古代、春秋戦国時代の呉と越のお話です。

仇を討つために苦心を重ねる用語である「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」のもとにもなった、お互いが憎み合い、争い合うその一部始終を描いた小説です。

毎年この時期に刊行されるこの小説を楽しみにしていたのですが、9巻を手にとったとき、オビに「完結」の文字があって、本当にこの巻で終わるのか、多少不安でした。

ですが読み終わってみて。

ああ、そうきたか。

そう終わるのか。

と、納得のラストでした。

むしろ、ああ、これで良かったんじゃないの?

みたいな。

はじめのほうに出てくるものの、途中から全く音沙汰がなくなる謎の仮面についてもラストでしっかり登場&解決して完結します。

しかしこの小説の出始めが呉で活躍する伍子胥(ごししょ)からはじまるので、まさかラストが敵国(越)の范蠡(はんれい)で完結するのは予想外でした。

宮城谷さんいわく、ずっと書きたいと思っていたものの、范蠡からはじめると物語が重くなってしまうので、敵の伍子胥から描くことを思いついたところからこの小説の構想が出来上がったとのこと。

呉越については資料が少ないらしく、想像でおぎなった部分が多少なりともあるとのことですが、全体としては違和感なく、むしろいい意味でふくらみのある小説になっていると感じました。

読後感の良い、面白い小説でした。